Kazenonaka

「風の小径」のさらに小径

円山応挙展

相国寺の奥にある承天閣美術館は開館三十周年なのだそうで、

その記念に前期と後期にわかれて、「円山応挙展」が開催されました。

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これは昨秋観に行った前期の時の案内。

この絵は前期の展示物の目玉のひとつである「孔雀牡丹図」。

とてもリアルで美しい孔雀の絵で、見惚れてしまいます。

この孔雀は四条河原町(だったかな?)辺りの見世物小屋で、

実際に見ることが出来たそうです。

応挙の写生帖の展示もありましたが、彼の写生力はほんと素晴らしいです。

(写生帖についてのお話はまた後ほど。)

孔雀の絵を見れば見るほど、応挙が孔雀に魅せられていたのが伝わってきます。

 

そして前期の見どころは「七難七福図巻」でした。

この図巻は、三井寺の円満院の住職の依頼によって

4年の年月をかけて描かれたものだそうです。

何の予備知識も持たぬまま見て来た訳なのですが、

この図巻が圧巻で、言葉を失うほどでした。

天災巻、人災巻、そして福寿巻とわかれているのですが、

もう人災巻がすごすぎ、凄惨過ぎ。

そのちょっと前に開山堂で、応挙が描いたといわれる

ころころとした可愛らしいワンころの絵を見て来ただけに、

人災巻のそのえぐさに、かなりのショックを受けます。

強盗、強姦、追いはぎ、そして様々な処刑の様子…。

もし、これが映画だったら、間違いなくR18指定だなと思う残忍さです。

(ムスメは前期はちょうど東京に行っていたので、これは見ていません。

いや、見ていたらきっと夜寝られないと言っていたに違いありません。)

あまりにも描写がすごすぎて、これ(処刑とか)応挙は実際に見て描いたの?!

どうなの?!と、その辺りもグルグルと考えてしまいました。

(よく考えたら、昔のさらし首とか、残忍極まりないですよね…。)

なので、最後に福寿巻を見て、桜が舞い散るなかの、そのふわりとした幸福な絵で、

バランスをとっているという感じです。

京都新聞の記事で図巻の様子がちらりと見られます。↓

応挙の絵巻、風景画一堂に 上京の相国寺承天閣美術館 : 京都新聞

 

個人的には三井家所蔵の応挙の小さな写生帖に心惹かれました。

そのなかでも鳥のスケッチがあって、

ガラスケースのなかにおさめられていたけれど、

手に取って、他のページもパラパラとめくって見てみたい衝動にかられました。^-^;

あと、京都堀川夜景浮世絵はちょっとした仕掛け絵本になっていて、

けっこう楽しいものでした。

あのころに、日本でも仕掛け絵本的な絵があったとは、驚きです。

 

…と、以上、ここまでは去年に書いて、下書きのまま放置しておりました、^-^;

さて、後期です。

 

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 後期の看板の絵は「薔薇文鳥図」。

応挙の時代にも薔薇があったのだというのに、軽い衝撃を受けてしまいました。

で、描かれている鳥が最初シメ?とか思ったのですが、^-^;

文鳥さんでした。

そう言えば、文鳥ってまともに見たことがなかったのですよね。

シメと文鳥、おなじスズメ目ですが、

シメはアトリ科、文鳥はカエデチョウ科なんだそうです。

ううむ、実際に文鳥の写真も見たけれど、

この絵の鳥さんは私的にはシメにしか見えない…^-^;

(だって、この絵のブンチョウ、嘴が赤くないんだもん。)

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↑ちなみにこれがシメさん。(1年前に撮った写真から。)

後期の展示は開山堂の「雪中山水図」と「夏景山水図」が主でしたが、

かなり色あせていてよくわからないままでした。^-^;

(それになんだかほこりっぽくて、喉が苦しかったです…

これは別に山水図のせいじゃないけれど。)

でも、前期の時に特別公開で入った開山堂で見かけた

芭蕉狗子図」のコロコロわんちゃんに再びあえました。

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コロコロわんちゃんの絵は他にも朝顔と一緒とか、何枚かあって眼福。

 

そして写生帖の鳥の絵の、いくつか展示がありました。

カシラ(カシラダカ)、セキレイ、それにカワセミなど。(あと鶏も!)

ほんとこんなに正確に、かつ詳細に描くには双眼鏡や望遠鏡が必要よねぇ…と思ったら、

応挙は「尾張屋」というお店に奉公しているときに、

じっさいに舶来ものの望遠鏡も手にしていたそうです。

なるほど、だからあんなに正確に鳥の絵が描けるのかぁ…と、納得しました。

写生帖の鳥のハガキなどがあったらいいなぁ…って思ったのですが、

なかったので残念。

お土産は、芭蕉狗子図のミニファイルを。(これは秋に購入)

図録も写生帖がもう少しクローズアップされていたら買ったのだけれど…。

写生帖の絵、もっと見たいです。

 

円山応挙展」、後期は3月23日まで開催されています。

臨済宗相国寺派

 

(おまけ)秋編

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 秋の承天閣美術館

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紅葉と黄葉。

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 法堂と紅葉。

 

(おまけ)春編

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斑入りの椿、

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そして梅。

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源平の梅の咲き分けについては、「風の小径」のほうに記していますので、

そちらをご覧になってください。(おじぎ)

「瓦と梅とアオサギと。-相国寺にて- - 風の小径