その記念に前期と後期にわかれて、「円山応挙展」が開催されました。
これは昨秋観に行った前期の時の案内。
この絵は前期の展示物の目玉のひとつである「孔雀牡丹図」。
とてもリアルで美しい孔雀の絵で、見惚れてしまいます。
実際に見ることが出来たそうです。
応挙の写生帖の展示もありましたが、彼の写生力はほんと素晴らしいです。
(写生帖についてのお話はまた後ほど。)
孔雀の絵を見れば見るほど、応挙が孔雀に魅せられていたのが伝わってきます。
そして前期の見どころは「七難七福図巻」でした。
この図巻は、三井寺の円満院の住職の依頼によって
4年の年月をかけて描かれたものだそうです。
何の予備知識も持たぬまま見て来た訳なのですが、
この図巻が圧巻で、言葉を失うほどでした。
天災巻、人災巻、そして福寿巻とわかれているのですが、
もう人災巻がすごすぎ、凄惨過ぎ。
そのちょっと前に開山堂で、応挙が描いたといわれる
ころころとした可愛らしいワンころの絵を見て来ただけに、
人災巻のそのえぐさに、かなりのショックを受けます。
強盗、強姦、追いはぎ、そして様々な処刑の様子…。
もし、これが映画だったら、間違いなくR18指定だなと思う残忍さです。
(ムスメは前期はちょうど東京に行っていたので、これは見ていません。
いや、見ていたらきっと夜寝られないと言っていたに違いありません。)
あまりにも描写がすごすぎて、これ(処刑とか)応挙は実際に見て描いたの?!
どうなの?!と、その辺りもグルグルと考えてしまいました。
(よく考えたら、昔のさらし首とか、残忍極まりないですよね…。)
なので、最後に福寿巻を見て、桜が舞い散るなかの、そのふわりとした幸福な絵で、
バランスをとっているという感じです。
( 京都新聞の記事で図巻の様子がちらりと見られます。↓
応挙の絵巻、風景画一堂に 上京の相国寺承天閣美術館 : 京都新聞)
個人的には三井家所蔵の応挙の小さな写生帖に心惹かれました。
そのなかでも鳥のスケッチがあって、
ガラスケースのなかにおさめられていたけれど、
手に取って、他のページもパラパラとめくって見てみたい衝動にかられました。^-^;
あと、京都堀川夜景浮世絵はちょっとした仕掛け絵本になっていて、
けっこう楽しいものでした。
あのころに、日本でも仕掛け絵本的な絵があったとは、驚きです。
…と、以上、ここまでは去年に書いて、下書きのまま放置しておりました、^-^;
さて、後期です。
後期の看板の絵は「薔薇文鳥図」。
応挙の時代にも薔薇があったのだというのに、軽い衝撃を受けてしまいました。
で、描かれている鳥が最初シメ?とか思ったのですが、^-^;
文鳥さんでした。
そう言えば、文鳥ってまともに見たことがなかったのですよね。
シメと文鳥、おなじスズメ目ですが、
シメはアトリ科、文鳥はカエデチョウ科なんだそうです。
ううむ、実際に文鳥の写真も見たけれど、
この絵の鳥さんは私的にはシメにしか見えない…^-^;
(だって、この絵のブンチョウ、嘴が赤くないんだもん。)
↑ちなみにこれがシメさん。(1年前に撮った写真から。)
後期の展示は開山堂の「雪中山水図」と「夏景山水図」が主でしたが、
かなり色あせていてよくわからないままでした。^-^;
(それになんだかほこりっぽくて、喉が苦しかったです…
これは別に山水図のせいじゃないけれど。)
でも、前期の時に特別公開で入った開山堂で見かけた
「芭蕉狗子図」のコロコロわんちゃんに再びあえました。
コロコロわんちゃんの絵は他にも朝顔と一緒とか、何枚かあって眼福。
そして写生帖の鳥の絵の、いくつか展示がありました。
カシラ(カシラダカ)、セキレイ、それにカワセミなど。(あと鶏も!)
ほんとこんなに正確に、かつ詳細に描くには双眼鏡や望遠鏡が必要よねぇ…と思ったら、
応挙は「尾張屋」というお店に奉公しているときに、
じっさいに舶来ものの望遠鏡も手にしていたそうです。
なるほど、だからあんなに正確に鳥の絵が描けるのかぁ…と、納得しました。
写生帖の鳥のハガキなどがあったらいいなぁ…って思ったのですが、
なかったので残念。
お土産は、芭蕉狗子図のミニファイルを。(これは秋に購入)
図録も写生帖がもう少しクローズアップされていたら買ったのだけれど…。
写生帖の絵、もっと見たいです。
「円山応挙展」、後期は3月23日まで開催されています。
(おまけ)秋編
秋の承天閣美術館。
紅葉と黄葉。
法堂と紅葉。
(おまけ)春編
斑入りの椿、
そして梅。
源平の梅の咲き分けについては、「風の小径」のほうに記していますので、
そちらをご覧になってください。(おじぎ)