Kazenonaka

「風の小径」のさらに小径

月夜の夜に。

先日の満月は、ひと月に2回満月が訪れるという

「ブルームーン」と呼ばれるものでした。

そのブルームーンの話題を、とある人としていたところ、

その方はその日、山のふもとの施設で過ごしたら、

「夜中に月明かりで影が出来たので、感激した。」とおっしゃったのです。

彼は「生粋の街っこ」なので、

お月さんの明るさで影が出来るなんて、

今まで体験をしたことがなかったそうです。

そんな話をした日、ふとアスリン・アトリーの童話の一節を思い出しました。

 

「お月さんのランプに

 お星さんのロウソク

 夜ごとはるばる

 さまよう おいら」

 

かぐわしい夏のゆうべに、ハリネズミがはなうたを口ずさみながら、

野道をぶらぶらとやってくるシーンです。

そうだ、きっとあの日のお月さんは、

山のふもとでは「お月さんのランプ」だったんだと思ったのです。

そうしたら急に読みたくなって、

久しぶりにこの本を本棚から取り出してきました。

この本を読んでいると、月のランプもさることながら、

夜風にのって薫るかぐわしい草花の香り、

麦畑を渡る夜風に揺れて穂と穂がごすれあう海のささやきのような音…

ふっとそれが本当に薫ったり、聴こえてくるように思えます…。

 

 

 忙しい生活の中でゆっくりと過ごしたいと思ったとき、

こんな童話に触れてみるのもいいかもしれません。